愛犬の健康寿命を延ばすために知っておきたい「犬の主な死因と予防策」
Apr 29,2025 | みゆき
最近、「昨日まで元気だったのに」「もっと早く気づいていれば…」という飼い主さんの声をよく目にします。愛犬との突然の別れは、誰にとっても他人事ではありません。でも実は、ちょっとした知識と心がけで防げることもあります。この記事では、大切な家族である愛犬の命を守るために、犬種や年齢ごとのリスクと対策をわかりやすくまとめました。今のうちにできること、一緒に見つけていきましょう。
目次:
年齢別・主な死因の特徴と具体例
子犬期(0~1歳)に注意すべきリスク
子犬期は、新しい命が芽吹いたばかりの大切な時期。ですがこの時期は、感染症や外傷、そして先天性疾患といった深刻なリスクが多く潜んでいます。特にパルボウイルス感染症は致死率が高く、ワクチン未接種の子犬にとっては命取りになりかねません。好奇心旺盛な子犬は高い場所からの転落や誤飲などの外傷にも要警戒。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、獣医師と相談しながらワクチン接種のスケジュールを確実にこなすこと、家の中の危険なものを片付けることが基本です。子犬期はかわいさと同時にリスク管理が求められる時期だと心得ましょう。
成犬期(2~7歳)の健康管理ポイント
成犬期に入ると体の基礎がしっかりし、病気のリスクは減るように思えますが、油断は禁物です。特に大型犬と小型犬とでは注意すべき病気が異なります。ゴールデン・レトリバーなどの大型犬では、胃捻転やがんが多く見られ、命に関わる急変も少なくありません。一方、チワワなどの小型犬は尿路結石や膀胱炎といった泌尿器系のトラブルが増えてきます。また、日常の中で見逃しやすいサイン──たとえば体重の微妙な増加、なんとなく続く咳、トイレの回数が多いといった変化──も重要な手がかり。これらを放置してしまうと、症状が進行してしまう可能性もあるため、定期的な健康チェックと飼い主の「ちょっと変かも?」という気づきが成犬期の健康を守るカギになります。
シニア期(8歳~)に増加する疾患
8歳を過ぎると、愛犬もシニアの仲間入り。見た目は元気でも、体の内側ではさまざまな老化が進んでいることがあります。特に心臓病は10歳以上の犬の75%に見られるというデータもあり、早期の対策が欠かせません。さらに、最近では犬にも「認知症(認知機能不全症候群)」が増えており、夜鳴きやうろうろと歩き回るといった行動の変化が見られるようになります。また、腎不全や内分泌系の病気も多くなる時期です。こうした病気を早期に見つけるためには、半年に1回の血液検査や尿検査がとても効果的。体調の変化が現れにくいこの時期だからこそ、定期的な検査と飼い主の細やかな観察が、愛犬の「いつも通りの毎日」を守る大きな支えになります。
品種・体型別「なりやすい病気」対策ガイド
大型犬の飼い主がすべき3つの習慣
大型犬と暮らすには、日々のちょっとした習慣が健康寿命を大きく左右します。特に注意したいのが「胃捻転(GDV)」という命に関わる消化器疾患です。食後すぐに激しく動いたり、一度に大量の食事を摂ることが原因とされているため、食事は1日2~3回に分けて、食後はゆっくり休ませることが予防の基本。また、大型犬は体が重いため、関節に負担がかかりやすく、シニア期になると関節炎を発症するケースが増えます。体重管理と関節ケア用のサプリメント(グルコサミンやコンドロイチンなど)を取り入れると安心です。そして、忘れてはならないのががんのリスク。特にゴールデン・レトリバーやバーニーズ・マウンテン・ドッグでは高い確率で腫瘍が見られるというデータもあり、月1回程度、しこりや皮膚の異変を触診でチェックする習慣をつけておくと、早期発見に繋がります。
小型犬に多いトラブルと対処法
小さくてかわいい小型犬にも、特有の健康リスクがあります。たとえば「椎間板ヘルニア」。特に胴長短足の犬種やジャンプ好きな性格の子には多く、階段の上り下りや高い場所へのジャンプは控えた方がいいでしょう。抱っこの仕方も重要で、腰を支えるように優しく持つことで、日々のダメージを減らすことができます。そしてもう一つ見逃しがちなのが歯周病。小型犬は歯が密集していて、歯垢が溜まりやすい傾向があります。ブラッシングが難しい場合は、無理なく続けられるデンタルガムや歯磨きシート、口腔ケアスプレーなど、犬に合ったアイテムを選んで習慣化していくことがポイントです。口臭が強くなったら、それは歯周病のサインかもしれません。日頃から口の中の様子にも目を向けてみましょう。
短頭種(フレブル等)の呼吸器ケア
フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種は、その愛らしい顔立ちの反面、呼吸器系のトラブルを抱えやすい犬種でもあります。特に夏場は「熱中症」が命に関わる危険として知られており、涼しい室内でも油断は禁物。エアコンの使用に加えて、冷却マットやアイスベストを活用して、体温の上昇を防ぎましょう。また、日常的に呼吸音のチェックを行うことも大切です。「ブーブー」「ガーガー」といったいびきのような音が常に聞こえるようになった場合、正常な呼吸とは異なる可能性があります。病気の初期サインを見逃さないためにも、「この子の普段の呼吸はどうだったか?」という感覚を飼い主が把握しておくと安心です。短頭種と暮らすなら、季節ごとの体調管理と観察力が何よりも大切なケアとなります。
突然死を防ぐ「今日からできる」予防策
緊急時に役立つ症状チェックリスト
「元気だったのに、急に様子がおかしい……」そんなとき、慌てず対応するためには、いくつかの重要なサインを覚えておくと安心です。たとえば、胃捻転は大型犬に多い致死率の高い疾患で、発症から数時間で命に関わるケースもあります。兆候としては、急な腹部の膨らみ、落ち着きのなさ、よだれの増加、吐きたいのに吐けないような動作などが見られます。心臓発作や不整脈が疑われる場合には、舌や歯茎の色が紫や青白くなる、呼吸が浅く速くなる、立ち上がれなくなるなどの変化があります。こうした症状を日頃から家族みんなで共有し、チェックリストとして冷蔵庫に貼っておくのもおすすめです。いざというとき、迷わず動物病院に連絡できる体制を整えておきましょう。
家庭内の危険因子排除ガイド
意外と見落とされがちなのが、家の中に潜む危険。特に中毒のリスクは日常生活に多く潜んでいます。たとえば観葉植物の中でもユリ科は非常に危険で、摂取すると腎不全を引き起こすことがあります。また、チョコレートやキシリトール入りのお菓子も中毒の原因として有名で、手の届かない場所に保管することが鉄則です。さらに、ベランダや階段からの転落事故も小型犬や子犬に多く見られます。フェンスの高さは1.2m以上が目安で、すき間も狭めにしておくと安心です。飼い主の「うちは大丈夫」という油断が、取り返しのつかない事故を招くことも。今一度、犬目線で家の中を見直してみませんか?
獣医師が推奨する検査スケジュール
病気の早期発見には、定期的な健康診断が欠かせません。犬のライフステージに応じた検査内容を知っておくことで、適切なタイミングで病気を見つけることができます。たとえば子犬期には、遺伝性疾患の有無を調べるスクリーニング検査がおすすめ。特定の犬種では先天的な心疾患や肝臓シャントが見つかることもあります。成犬期には、特に胃捻転のリスクが高まるため、腹部超音波検査で臓器の位置や構造をチェックしておくと予防に役立ちます。そしてシニア期に入ったら、半年に1回を目安に血液検査や認知機能テストを行いましょう。最近では、犬の認知症(CDS)の早期診断ができるツールも出てきており、早期ケアによって生活の質を保つことができます。
まとめ
愛犬の突然の別れは、想像以上に心に残るものです。でも、日々のちょっとした気づきやケアで、そのリスクを減らすことはできます。「うちの子は大丈夫」と思わずに、今できることを一つずつ始めてみてください。何よりも大切なのは、今日もそばにいてくれること。その当たり前を、どうか大事にしてくださいね。
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